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ポケモンは本当に人を殺したのか? 元共同通信記者がメディアの観点から考えてみた

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ポケモンが人を殺したのか−−。

 

先日、ポケモンGOをプレイしながら車を運転していた男が高齢女性をはねて死亡させたニュースが話題となった。

 

www.huffingtonpost.jp

 

すわ、これは大事件か!? と僕も思った。なぜなら以前からポケモンGOで事件や事故が起こると言われていたから。その予想が現実になってしまった、と一瞬動揺した。

 

ちなみに、このニュースは海外メディアも報じた。

 

かの権威あるニューヨーク・タイムズ

 

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Driver in Japan Playing Pokémon Go Kills 

http://nyti.ms/2bIUEWP

 

著名なビジネスメディアであるフォーブズも

 

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Driver Playing Pokemon Go Kills Pedestrian In Japan http://www.forbes.com/sites/jensen/2016/08/29/driver-playing-pokemon-go-kills-pedestrian-in-japan/#470475bc3632

 

だいぶ大々的に報じていた。

 

しかし、自動車の死亡事故とポケモンGOはそんなに関係あるのか?

 

ポケモンGOをプレイしていたことが原因で前方不注意になり、人をはねて死亡させた」というのは確かに事実だ。

 

しかし、それは正確に言えば「スマートフォンをいじりながら運転していた」ことが悪いということではないか?

 

つまり、プレイしていたのがたまたまポケモンGOだっただけで、例えばGoogleマップをカーナビ代わりにスマートフォンを片手に持って自動車を運転していても、前方不注意になる可能性があるわけだ。

 

問題は、スマートフォンに気をとられてちゃんと前を見て運転していなかったことなわけで、ポケモンGOは後付けなのだ。

 

ではなぜポケモンGOがフィーチャーされたのか?

 

それはもちろん流行っているからなのだが、どのようなプロセスを経てポケモンGOに焦点が当てられたのか、マスコミ・メディアの構造から考えてみたいと思う。

 

結論から言うと、全国の報道記者は、事件・事故が起きるたび、ポケモンGOが関係していないか、取材先にしつこく聞くのだ。

 

たとえば、ある交通事故が起きたとする。その時、事故発生のプレスリリースを元に、警察に電話取材をする。

 

で、仮に運転手が人をはねて死亡させた事故があったら、

 

「運転手は酒に酔っていたか?」

 

「運転手は危険ドラッグを使っていたか?」

 

「運転手に通院歴はないのか?」

 

などをセオリーとして聞く。

 

このセオリーに、ポケモンGOが加わったわけだ。

 

つまり、

 

「人をはねて死亡させた運転手は、ポケモンGOをプレイしていなかったか?」

 

とわざわざ直接的に聞くのである。

 

なぜ、そんなことをするのか?

 

それは、ポケモンGOが関連していると見出しにも「ポケモン」というキャッチーな要素を入れられるし、流行りの話題が噛んでいるとニュース価値が上がるので、自分の記事が紙面の良いところに掲載されたりするわけだ。

 

ひょっとしたら、自分の記事が海外に配信される可能性もある。

 

だから、わざわざポケモンGOが関係しているかどうか聞くのだ。

 

こういったことは何もポケモンGOに限ったことではない。

 

LINEがまだ世に出て間もない頃、よく「容疑者は被害女性とLINEで連絡をとっていた」などと、何かとLINEと絡める報道が散見された。

 

これも、取材時に逐一「連絡手段はLINEですか?」と聞いていたからだと思われる。

 

というか、私個人も警察取材でよくLINE使用の有無を尋ねていた。

 

ポケモンGOにしろ、LINEにしろ、こういう報道の仕方の何が問題なのかというと、事件・事故と絡められることによって新しいテクノロジーが「悪」と見なされてしまう可能性があるということだ。

 

特に、いわゆる「レイトマジョリティ」などの層には、ポケモンやLINEがなんだか怖いものに映ってしまう。

 

これでは、人間の進歩を促す新しいテクノロジーの発展が阻害されてしまう。

 

メディアは構造的に上記のような報道の仕方になってしまうので、メディアに対して「だからマスゴミは…」と嘆いてもしょうがない。

 

なので、ここに書いたようなメディアの特性を理解し、メディアリテラシーを高め、何かバズワードが報道に絡んでいたら少し批判的・懐疑的にニュースを読み解いてみる、という知的作業が必要になってくるのである。

 

至極当たり前のことだが、メディアを相対化し、マスコミからの情報を鵜呑みにしないようリテラシーをつけよう、という話だ。

 

私からは以上である。

 

それでは、お先します。